【水戸市】なぎさと歩く 水戸藩ものがたり②|「日本三名園」なのに、昔はタダで入れた?
観光・レジャー 📍 水戸市 📅 2026年6月19日 00:37

【水戸市】なぎさと歩く 水戸藩ものがたり②|「日本三名園」なのに、昔はタダで入れた?

「なぎさと歩く 水戸藩ものがたり」は、水戸の海とアウトドアが大好きななぎさが、郷土史にくわしいミトじいさんに教わりながら、水戸藩の歴史の舞台を1か所ずつ歩く連載です。第2回の舞台は、水戸を代表する庭園偕楽園(かいらくえん)

金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ「日本三名園」のひとつ。梅の名所として全国に知られていますが、この庭にはもうひとつ、あまり知られていない顔があります。今回のテーマは「日本三名園なのに、昔はタダで入れた?」。その答えをたどると、第1回の弘道館とつながる、斉昭公の意外な思想が見えてきます。

「日本三名園」なのに、タダ?

なぎさ ミトじいさん、今日は偕楽園ですね! 日本三名園のひとつってことは、お殿様の立派なお庭ですよね。昔は庶民なんて、入れなかったんじゃ……?
ミトじいさん それがな、逆なんだよ。偕楽園は江戸時代から、毎月「三」と「八」のつく日——三日、八日、十三日……ってな——には、領民に開放されていたんだ。つまり昔から、町の人がタダで入れる日があったのさ。
なぎさ ええっ、お殿様のお庭なのに、町の人がタダで!? そんなお庭、江戸時代にあったんですね……!
ミトじいさん 珍しいだろう。それにはちゃんと、斉昭公の考えがあってな。庭の名前そのものに、その答えが隠れてるんだよ。

偕楽園とは|斉昭が「民と偕に楽しむ」ためにつくった庭

なぎさ 「偕楽園」って名前、よく聞きますけど、どういう意味なんですか?
ミトじいさん 「偕(とも)に楽しむ」と書くだろう。これはな、中国の古い書物『孟子』の「古(いにしえ)の人は民と偕に楽しむ」って言葉から取ったんだ。九代藩主・徳川斉昭公が、天保13年——1842年——にこの庭を開いたとき、「殿様だけの庭にはしない、領民と一緒に楽しむ庭にしたい」という願いを、名前そのものに込めたんだよ。
なぎさ 名前に「みんなで楽しもう」って意味が入ってるんですね…! だから「三」と「八」の日に開放してたんだ。
ミトじいさん そういうことだ。金沢の兼六園、岡山の後楽園と並んで「日本三名園」に数えられる庭だが、成り立ちはちょっと変わってる。見栄えのよさだけじゃなく、「誰のための庭か」って思想がはっきりしてるんだな。

弘道館の相棒|「一張一弛」の思想

なぎさ 斉昭さんって、第1回の弘道館を作った人ですよね。あの大きな学校と、このお庭って、何か関係があるんですか?
ミトじいさん いいところに気づいた。実はこの二つ、セットで考えられているんだ。斉昭公は「一張一弛(いっちょういっし)」——弓の弦は、張りっぱなしでも緩みっぱなしでもいけない、って意味だ——を大事にした。弘道館で文武をびしっと学んで張りつめたら、偕楽園で心と体をゆるめて休む。学びの場と憩いの場、その両方をそろえて一人前、という考えだな。
なぎさ 勉強したら、ちゃんと休む……。今でいう「オンとオフ」みたいですね。江戸時代にもう、そんな発想があったなんて!
ミトじいさん だから弘道館と偕楽園は、水戸藩の「人づくり」の両輪なんだよ。片方だけ見て帰っちゃ、もったいないってわけだ。

約100品種3000本の梅|見頃と水戸の梅まつり

なぎさ 偕楽園といえば、やっぱり梅ですよね! どのくらい植わってるんですか?
ミトじいさん 本園だけで、およそ100品種3000本だ。品種が多いってのがミソでな。早咲きから遅咲きまであるから、見頃が長い。例年だと2月の中ごろから3月にかけて、順々に咲いていくんだ。
なぎさ 100品種も! 一気に咲くんじゃなくて、リレーみたいに咲いていくんですね。
ミトじいさん そういうことだ。その時期にあわせて「水戸の梅まつり」が開かれて、園内はいちばんにぎわう。品種ごとに名前の札がついてるから、「これは早咲きか」なんて読みながら歩くのが、通の楽しみ方だぞ。

好文亭|斉昭が自ら設計した三階建て

なぎさ 園内に古い木造の建物が見えますけど、あれは何ですか?
ミトじいさん 好文亭(こうぶんてい)だ。これがまた、斉昭公が自ら設計したと伝わる木造2層3階建ての建物でな。ここに文人や家臣、領内の人たちを招いて、詩歌や茶会を楽しんだという。
なぎさ お殿様が自分で設計! ほんとに多才な人だったんですね……。3階まであるんですか?
ミトじいさん ああ、3階は「楽寿楼(らくじゅろう)」と呼ばれてな、そこからは千波湖(せんばこ)や園内が一望できる。なぜこの場所に庭を開いたのか、あの眺めを見ると体でわかるぞ。面白いのは、料理を上げ下げする木製の滑車式昇降機——今でいうエレベーターみたいなもの——が仕掛けてあることだ。江戸時代の工夫としては、なかなか凝ってるだろう。

アクセス・拝観メモ

偕楽園は、JR水戸駅北口からバスで約20分、「偕楽園・常磐神社前」付近で下車します。梅まつりの期間は、園のすぐそばにJR常磐線の臨時駅「偕楽園駅」が営業することもあります。車の場合は常磐自動車道・水戸ICが最寄りで、本園用・拡張部用など複数の駐車場があります。入園料は本園が大人320円・小人160円。茨城県民は梅まつり期間を除いて無料(要・住所証明)、70歳以上は半額です。さらに好文亭は別料金で、大人230円・小中学生120円。開園時間は2月中旬〜9月30日が6:00〜19:00、10月1日〜2月中旬が7:00〜18:00で、好文亭の開館は9:00〜17:00(後期は16:30まで)です。梅まつり期間は道路も駐車場も混み合うので、公共交通機関もあわせて検討してください。料金や時間は変わることがあるので、出かける前に公式サイトで最新情報を確認しましょう。見どころや料金をさらにくわしく知りたいときは、偕楽園の見どころガイドもどうぞ。

歩く順番のおすすめは、第1回の弘道館で「学びの場」を見てから、千波湖をはさんで偕楽園で「憩いの場」へ。すぐ隣には次回以降に登場する常磐神社もあるので、斉昭が遺したものを一筆書きでたどれます。「学んで、休む」をセットで歩くと、斉昭の思想がぐっと身近になりますよ。

次回は「天守のない城」へ

なぎさ 学んで、休んで……。弘道館と偕楽園で、水戸藩の人づくりがワンセットになってたんですね。なんだか斉昭さんのこと、好きになってきました!
ミトじいさん はは、いいことだ。さて次はな、その水戸藩の政治の中心——水戸城へ行こう。ところがこの城、立派な天守がないんだ。知ってるか?
なぎさ えっ、お城なのに天守がない!? どういうことですか……気になります!

次回・第3回は、水戸藩の政庁だった「水戸城」へ。「天守がないのに、どうやって守ったの?」という謎から、土と堀でつくられた城下町の正体にせまります。(近日公開)

連載の全体像は、親記事「水戸藩の歴史まとめ|弘道館・偕楽園・水戸城から幕末水戸の物語をたどる」からどうぞ。第1回・弘道館の話は「日本一大きな藩校で、水戸の人は何を学んでた?」で読めます。

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この記事を書いたライター

なぎさ
なぎさ 観光・アウトドア担当

大洗の海とひたち海浜公園が好きなライター。浜辺の過ごし方、花の見頃、週末に行きたい景色を、季節の空気ごと届ける。

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